三年前。
春の夕方。
照子、洗濯ものをたたんでいる。
博、おかずを食べ終わり、残っているご飯を味噌汁にいれねこまんまにする。
照子 二、三日いられるの？
博 明日の夜帰る。
照子 あんた、相変わらずねえ。
博 何？
照子 ねこまんま。
博 美味しいだもん。
照子 ちゃんと食べてんの？
博 うん。
照子 シャツ、ボタンとれそう。つけかえとかなきゃね。
博 いいよ。
照子 いいってことないでしょ。あんた裁縫とかできないでしょ。
博 結婚するから。
照子 え？
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照子 今 結婚って言った？
博 うん。
照子 するからって言った？
博 うん。
照子 いっつもそう。大学受験も、会社入る時も。
博 だって俺の中では結論でてるんだもん。相談するだけ無駄じゃん。
照子 全く、あんたと健志と足して二で割ってほしいわ。名前何て言うの？
博 早紀。
照子 何早紀さん？
博 野々村早紀さん。
照子 どこの人？東京の人？
博 とにかく、後は父さん帰ってきてから。
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博 母さんたちはさあ、結婚して何年になるの？
照子 あれ？話題変えちゃうの？
博 いやほら、結婚式挙げてないって言ってたじゃない。
照子 うん。
博 だから金婚式時に盛大にパーティー開いたらどうかなって。
照子 いいわよ、今更。
博 ウェディングドレス着てさ。
照子 やめてよ、恥ずかしい。
博 いいじゃない。
照子 まあ、お父さんがその気になればね。
博 風呂は？
照子 まだ。
博 掃除してくる。
照子 そんなことより、早紀さんって。
照子 全く、そうだ、ひまわりに水やらなきゃ。
照子、庭に出て水をやる。風呂場から水の音が聞こえてくる。
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