お昼過ぎ。
忠義 いろいろありがとう。お世話になりました。
幸太郎 ちょくちょく様子見にこさせてもらいますよ。
登美子 ゆっくり休んでくださいね。
忠義 ありがとう。ゆかりちゃんも、お幸せに。
ゆかり 結婚式には出て下さいね。
幸太郎 バカいってんじゃねんよ。
海老原 へへへ、、。
登美子 健志くん。お父さんのこと、よろしくね。
健志 はい。
登美子 (トイレに向かって)博くんも、遊びにおいで。
博 (トイレから)ありがとうございます。
ゆかり 早紀さん、また。
早紀 今度二人でゆっくり飲もう。
ゆかり いいねえ。
忠義と健志、一緒におくっていく。
早紀が残っている。博トイレから出てくる。
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博 みんないっちゃった?
早紀 うん。大丈夫?ゆうべ、ねこまんま食べるからだよ。
博 そうだね。
早紀 ねえ、私、子供欲しくなっちゃった。
博 父さんに孫の顔見せてやんないとなあ。
早紀 男の子。
博 決めてんの?
早紀 うん。博や健志さんみたいに、私が死んだとき、泣いてくれる男の子が欲しい。
博 なんだよ、それ。
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忠義と健志戻ってくる。忠義、果物かごを近所に分けるため奥の間へ。博と早紀も手伝いに。博はお前はいいと健志にいい、ひとり残る健志。
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真由美がやってきていた。
真由美 明日、おじさんとご飯食べに来てって。おばあちゃんが。
健志 そう。
真由美 それだけ、伝えにきた。
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健志 あ、待って。これ。
真由美 うん。
健志 美味しかった。肉じゃが。
真由美 良かった。
健志 おまえさ。
真由美 なに?
健志 いくつになった?
真由美 26。
健志 そうか、俺30だからさ。いろいろ考えなきゃなと。
真由美 いろいろって。
健志 仕事とか、、、結婚、、とか、、、おまえはどうなの。
真由美 私?私も早くおばあちゃん安心させてあげたいと思って。
健志 そうだな。それがいい。
真由美 だからね。私、結婚するの。
健志 えっ?
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健志 なんで?いや、、あれ?、、、え?、、、そうなの?
真由美 彼がね、おばあちゃんと一緒に住んでもいいよって。
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健志 へえ、いい人だね。あ、、、おめでとう。
真由美 ありがとう!だからずっとお隣さんは変わらないから。
健志 うん。
真由美 これからもよろしくね。
健志 うん。
真由美 健ちゃんは私にとって、お兄ちゃんみたいなもんだから。
健志 、、、そう、、、だね。
真由美 じゃあね。
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健志、風呂を沸かしにいき、水かぶって出てくる。薪をくべながら、ポケットから本を出し、一枚一枚破って釜にいれている。
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そこに早紀がやってくる。
早紀 あれ?もうお風呂?それ何の本?
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早紀 「人妻は風に乗って」えー?
早紀 だって、さっき棺の中に、本、いれてたじゃない。
健志 あれはね。クイズ頭の体操。入れ替えといたの。
早紀 はじめからそのつもりで。
健志 俺は嫌だったから。そういうの。
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健志 人妻は風になんかのらねんだよ(と、本を釜に投げ入れる)
早紀 なんだかよくわかんないけど。カッケー。
健志 でもさっそくバチが当たった。
早紀 え?
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忠義と博がくる。
忠義 さてと。お返しの準備しなきゃな。
博 これから大変だな。男二人で大丈夫かよ。
忠義 なんとかなるさ。
博 まあ、でも隣の真由美ちゃんもいるしな。
健志 うるさい!その話はもうやめろ。
博 何だよ。
忠義 先のことは、わからない。まあ、なんとかなるさ。
♪上を向いて歩こう 涙がこぼれないように♪、まだまだ昭和は終わんないぞ。
早紀 あ。
博 何。
早 煙。
忠義 ん。
早紀 煙突から、煙、出てる。
健志、黙々と風呂をたいている。
忠義、博、早紀はいつまでも煙を眺めている。
幕。
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