一年前。
春の夜。
居間に喪服姿の忠義がいる。照子、トイレから出でくる。
照子 なんだか嫌ね。喪服着る機会が多くて。
忠義 今年に入ってもう四回目だ。登美子さんのお母さん、同級生の木下、山本、そして朝川さん、、、。
照子 しょうがないわよ。
忠義 俺の葬式のときは、
照子 やめてよ。
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忠義 今のうちにおまえにいっとくな。
忠義 財産は、、、ないから大丈夫だ。
照子 そうね。
忠義 この家も好きにしていい。
照子 そうなの?
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忠義 棺にはこの歴代の戦友たちの写真(トラック)をいれてくれ。
照子 ああ、、そうね。写真だけでいいの?
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忠義 歴代のサングラスたちも入れたいところだけど、写真だけでいい。
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忠義 バカ、やめろ。
照子 いいじゃない。あなたも言ったんだから。
忠義 うるさい。聞きたくない。
照子 勝手なんだから。
忠義 結婚してからは一番の横綱の名前をトラックにつけてきた。
照子 そうね。
忠義 でも今日だけは二番手でいいよ。
照子 えっ?
忠義 朝川さんを偲んであげたらいい。
照子 なにいってんの。
忠義、奥の間に去る。照子、湯のみを片付け、ゴミ袋を持って出でいく。
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